大切な人のために
あなたのために
お米で焼く優しいパンを
娘がくれた、大きなご縁。
娘が初めて口にしたパン粥。
その一さじで、
目の周りから顔全体が腫れ上がり、
小麦アレルギーだと分かりました。
両親にも、息子にも食物アレルギーはなく、
まさか我が家で…という思いでした。
医師からは、
「2歳頃までは小麦製品を控えましょう」と。
大人は我慢できます。
でも、パンが大好きな息子に
「食べないで」と言うことはできませんでした。
娘がお昼寝をしている間だけ、
息子には小麦のパンを食べてもらう日々。
けれどある日、
ほんの少し目を離した隙に、
娘が息子のパンを口にしてしまいました。
みるみる顔が腫れていく娘。
申し訳ない気持ちと、
この生活を続けることの難しさを痛感しました。
家族みんなで、同じものを「おいしいね」と食べたい。
その想いが、
私のお米パン作りの始まりでした。

お米パンとの出会い
娘と一緒に食べられるパンを探して、
真っ先に手に取ったのは「米粉パン」でした。
でも、よく見ると小麦入り。
通販で探しても、
原材料には聞き慣れない名前が並び、
冷凍便がほとんどでした。
「それなら、自分で焼いてみよう。」
そう思ったことが、
新しい一歩の始まりでした。
当時は今のようにレシピも少なく、
本やインターネットで調べながら何度も挑戦。
思うように焼けず、
失敗を繰り返す毎日でした。
それでも学び続け、
初めて納得のいく米粉100%のベーグルが焼けた日の感動は、
今でも忘れられません。
「これが本当に米粉?」
そう驚くほどおいしくて、
小麦とはまた違う魅力に夢中になりました。
発酵が短く、
思い立った時に焼ける手軽さ。
安心できる材料で、
子どもたちの「また食べたい。」に応えられる喜び。
気がつけば、
毎日のようにパンを焼くようになっていました。
その頃、生のお米から作る「生米パン」とも出会いました。
お米そのもののおいしさを生かしたパンに感動し、
考案者のリト史織さんの想いや人柄にも惹かれ、
インストラクター資格を取得。
米粉からも、生米からも。
お米には、まだまだたくさんの可能性がある。
そう感じるようになりました。


同じ食卓を囲める喜び
米粉パン、生米パンを焼くようになって、
我が家の食卓は少しずつ変わっていきました。
娘だけが別のものを食べるのではなく、
家族みんなで同じパンを囲める毎日。
「おいしいね。」
その一言が、何よりうれしく感じられました。
息子も娘もお米パンが大好き。
「今日はベーグルが食べたい!」
「次はあんパンがいい!」
そんなリクエストに応えてパンを焼く時間も、
私にとってかけがえのない楽しみになりました。
そして気づけば、
パンを焼くことは特別なことではなく、
暮らしの一部になっていました。
私自身も、たまに小麦のパンやパスタを食べると、
体が重く感じたり、眠くなったりすることがあります。
だから今は、
お米を中心とした食生活が、
家族にとっても、私にとっても心地よく感じています。
同じものを「おいしいね」と囲める食卓。
それは、
私がずっと大切にしたかった暮らしでした。


新しい一歩へ
育休を終えて、仕事に復帰しました。
子どもとの時間も、
パン作りも、
仕事も。
どれも大切だからこそ、
私には全部を両立することが簡単ではありませんでした。
娘が小麦アレルギーだったことも、
きっと何かのご縁。
私だから伝えられることがあるかもしれない。
お米パンのおいしさや楽しさ、
そして、お米の可能性をもっと多くの方へ届けたい。
そんな想いが少しずつ大きくなっていきました。
これから迎える、息子の小学校入学。
今は、我が子に「お帰り」といえる働き方を叶えたい。
今しかない子どもたちとの時間を大切にしたい。
そう思い、悩みに悩んだ末、
15年間続けた仕事を退職しました。
そして娘の誕生日に合わせて、
お米パン「穂々えみ」を開業。
縁をくれた娘・咲穂の「穂」。
そして、実る稲穂の「穂」。
お米の恵みで焼くパンを通して、
たくさんの「ほほえみ」が生まれますように。
そんな願いを込めて名付けました。


伝える喜び
2024年5月。
シェアキッチンをお借りして、
お米パンの販売を始めました。
季節を大切にしたパンを届けたい。
そんな想いで、
地元の農家さんの野菜やハーブも取り入れながら、
毎回試作を重ねています。
そして、販売とともに
パンのレッスンも始めました。
一緒にパンを焼き、
焼きたてを囲んでお話をする時間。
私にとって、
かけがえのない時間になっています。
レッスンや販売を通して、
たくさんの嬉しい言葉をいただくようになりました。
「家で米粉パンが作れるなんて!」
「人生の目次が増えたみたいです。」
「お母さん、これ売れるよって言われました!」
「小麦アレルギーの息子のおかわりが止まりません。」
その一つひとつの言葉に、
何度も励まされ、
背中を押していただいています。
出会ってくださった皆さまへの感謝を胸に、
これからも一歩ずつ、
お米パンのある暮らしをお届けしていきたいと思っています。





これからも、お米とともに。
学生の頃から、さいたま市の「見沼田んぼ福祉農園」で、
仲間とともに農に親しんできました。
土に触れ、季節を感じる時間は、
今も私にとって大切な時間です。
だからこそ、
パンを焼くようになった今も、
お米は「材料」ではなく、
日本の食や暮らしを支えてきた大切な存在だと感じています。
お米を取り巻く環境は、
少しずつ変わっています。
だからこそ、
お米のおいしさや可能性を、
パンやお菓子を通して、
もっと身近に感じてもらえたら嬉しい。
「お米って、こんなにおいしいんだ。」
「また食べたい。」
そんな何気ない一言が、
食卓に増えていくこと。
そして、
子どもたち、その先の未来にも、
日本のお米のおいしさが受け継がれていくこと。
その小さなきっかけになれたら、
こんなに嬉しいことはありません。
これからも、
お米を通して、暮らしを楽しむ。
そんな時間を、
皆さんと一緒に育んでいけたらと思っています。


講師プロフィール
埼玉県生まれ、埼玉県育ち。
小学3年生の息子と、6歳の娘の母。
娘の小麦アレルギーをきっかけに、生米パン・米粉パンと出会い、そのおいしさと作る楽しさに魅了されました。
「お米で焼くパンのおいしさと、作る楽しさをもっと伝えたい。」
その想いから、15年間続けた仕事を退職し、2024年5月にお米パン「穂々えみ」を開業。
現在は、北浦和「イッカイ」での販売をはじめ、生米パン・米粉パンのレッスンや、お米の魅力を伝える活動を行っています。
大切な人のために、あなたのために。
お米で焼く、やさしいパンを。
稲穂の恵み、お米で焼くパンで、
「ほほえみ」が生まれますように。


